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​現代美術作家 工藤春香さんとの出会い

​で一矢さんのくらしをテーマにした作品を作ってくれました。

​この日は取材を兼ねて、ご両親宅にて49歳の誕生日祝いに駆けつけてくれました。

障害のある子供たちに図工を教えていらっしゃる工藤さん、一矢さんへの接し方もとても丁寧。

​半年近くかけて丁寧な関係作りと取材を重ねて行きました。

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​ご両親の一矢さんへの思いや、生い立ち、自立生活に向けた経緯など丁寧に聞き込み取材をされました。

​この日は一緒に鎌倉、江ノ島を周りました。

​祈りを捧げる一矢さん、こんなに純粋な祈りがあるでしょうか…

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​そしていよいよ作品が出来上がって展覧会が始まりました。一矢さんも皆と一緒に見に行きました。

後ろに下がっている20mにも及ぶ大きな幕には「1917年~2022年までの旧優生保護法を中心とした障害に関する政策、制度、法律等の年表」と「1978年~2022年の障害者当事者運動に関してまとめた年表」が、裏表に透けるように示されていて、それだけでも圧巻でした。

幕の外には施設を出てアパート暮らしを始めた「かずやんち」を表したソファーと、その自立生活を支える介護者たちの靴

​マーガレット・サンガーの肖像画

大きな幕の内側には、一矢さんの35年にも及んだ施設での生活を表した施設内の椅子

深く社会や自分自身と向き合いながら丁寧な関係作りと取材を通して、作品作りへと積み重ねて行った時間は、一矢さん自身にも私たち支援者にも​、かけがえのないとても貴重な経験となったと思います。工藤さんありがとうございました。これからも事件後の社会を見据えた末永いお付き合いをよろしくお願いします。

​加藤シヅエの肖像画

工藤春香

 

あなたの見ている風景を私は見ることはできない。

私の見ている風景をあなたは見ることはできない。

I cannot see the landscape you see.

You cannot see the landscape I see.

 

私はひとりで舟に乗っている。

あなたもひとりで舟に乗っている。

 

あなたの見ている風景を私は見ることはできない。

私の見ている風景をあなたは見ることはできない。

お互いの風景を見ることができないという点において、私たちは同じだ。

 

ある時から湖は隔てられた。

治者によって。

 

あなたは子どもを産んでもいい、あなたは産んではいけない。

あなたは産まれてきてはいけない。

あなたは産まなくてはいけない。

労働しなくてはいけない。納税しなくてはいけない。生産しなくてはいけない。

戦わなくてはいけない。それを支えなくてはいけない。

それができないのなら

 

自由を求めて路上にでた人々はビラをまく。

舞い上がったビラは施設に、国会に、都庁に、家の中に、テレビの中に、人々の中に

 

空に響き渡る声は、隔てた壁にヒビをいれる。

ヒビの合間からいくつもの風景が流れだす。

 

相模湖の底から

施設の中から

車椅子から

生まれなかった子どもから

まぶたの裏から

揺らめく唇から

指先から生まれる言葉から

凸凹の手触りから

管理された身体から

 

流れでた風景は湖に還る。

 

あなたの見ている風景を私は見ることはできない。

私の見ている風景をあなたは見ることはできない。

 

お互いの風景を見ることができないという点において、私たちは同じだ。

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